2022年10月29日
髪を梳いていると
秋の日が差し込む昼下がり、今日のような日。明治生まれの祖母が縁側で長い髪をスゲの櫛で梳いていた。肩に手拭いをかけてから結った髪をゆっくり解いた。すると束ねた髪がふたつに分かれて背中を流れ落ちた。おばあちゃんに見えていたのが黒くて毛量もあることに驚いた。わたしは正面にまわってじいッとじいッと見ていた。祖母の顔がだんだん若返り驚いた。
私はあの頃の祖母の年齢になり過去から現在と日常のなんのへんてつもないことが色濃く思い出される。笑ってしまう。
今、私も大きなブラシで小一時間ほど梳いている。日差しが足元を暖かくしてくれている。ポワンとした長い恍惚状態を抜けると、レコードをかけるのもいいかも、と思ったがレコードプレイヤーは捨ててしまっていたことに気づいてしまったー。
祖母の居た時代はラジオの電波が届かないので選局など出来なかった。テレビは共同アンテナで観れるのは2局だけだった。今から思えば不便だったのだろうが大都会の便利であろう生活と比べる手段も無く、周りで生活していた村人も同じ環境だったのでストレスは無かった。その頃の村での暮らしを振り返ればストレスどころか誇りに思えることがたくさん出てきてオモシロイ。
昔、パステルで模写した「林武の梳る女」
たまたま同じ柄のセーターを持っていたこともあり「ワタシ」の想いが太くなり、模写した顎がより細くなってしまった。先生が笑ってらした。
女が髪を梳くときはストレスフリーになったり気持ちの切り替えになったり、しばらくの間は脳内伝達物質がお休みするのかも。
さて、周りをコロコロして掃除しましょ。
posted by くろまめ at 14:19| 日記